2020年5月25日月曜日

好きな曲について語りたい。

ムック「百合と翼」
『壊れたピアノとリビングデッド』収録曲

ムックは,”時期”によって評価が分かれるバンドだと思います。

初期…密室系(痛み,絶望,苦しみ,停滞,孤独)
中期…ロキノンより(やさしさ,希望,救い,変化,許容,絆)
現在…ラウドより(いろいろごちゃまぜおもちゃ箱)

本当はもっと複雑なのだけどざっくり分けると個人的にはこんな印象。
私は,初期に惹かれ,中期にはまり。
現在は「かっこいいけど,しっくりこない曲もあるなぁ」と思う程度に曲を聞いています。

今回取り上げる「百合と翼」は2019年に発売された現在にあたる曲。
初期,中期,現在と,あげたキーワードだけをなぞると一貫性のないバンドのように思えますが,音楽性に関してはしっかりとした一貫性があります。
その最たる例が,哀愁ただよう歌謡曲要素を含んだ楽曲たち。
「百合と翼」はまさにその系統の曲。新しいのだけど,懐かしさも感じさせてくれる。
歌詞や音にも過去の積み重ねが感じられて,生きることの苦しみを否定はしないけれど,未来へ進んでいくための確かな希望を歌っているように感じます。

こういう楽曲が逹瑯の歌声の魅力を一番引き出してくれると思う。すっと心に落ちてきて心地良くなれる。
今でもこういう曲を聴けることが嬉しい。ムックはふり幅が大きいから合わない時は本当に合わないからなぁ……。

THE BACK HORN「ハナレバナレ」

新譜を発売するたびに期待通りの楽曲を届けてくれるバンド。
私にとってはそれが,THE BACK HORNです。

ここ数年のヒット率は高く,「悪人」からの『運命開花』の流れで最高潮に達したかと思えば,「ハナレバナレ」の疾走感と純情さに心をつかまれ,「心臓が止まるまでは」のバクホンらしさ全開の世界観に引き込まれ,最新アルバムも期待通りの出来で幸せな気持ちで聴いています。
もうとにかくかっこよくてかっこよくてたまらない。「悪人」や「美しい名前」を生で聞いた時は,ただただ圧倒されて動けなくなった。

「ハナレバナレ」は小説とコラボレーションした曲。
私は小説の方は未読なのですが,この「ハナレバナレ」という曲自体が短編小説のようになっていて,曲の展開に合わせてお話の映像が疾走感を伴ってありありと浮かんできます。中でも,

何千何万回 想いを伝えたって
足りないのなら 抱きしめるから
今すぐ会いたくて走り出すなんて
今時 恋愛小説でも無いよって笑っておくれ

の部分の盛り上がりは,音楽という形態だからこそ実現できた表現だと感じます。主人公の心音の高鳴りや息遣いまで届いてくるよう。創作物のはずなのに,嘘偽りのない心が歌われているみたい。

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